「常にお客さんと対等に話せるようにしたい」|たった2畳だからこそ落ち着ける。和室の古着屋〈樂商店〉が三軒茶屋にオープン
古民家を改装した和モダンな店構えで、2畳のたたみの上で店主と
ーーオープンおめでとうございます。床がたたみなので、すごく落ち着きます。
ありがとう。これ、抹茶点てたからどうぞ。
ーーありがとうございます。抹茶はお客さんにも出されるんですか?
うん、お客さんをみてかな。ゆっくりしていきたい感じだったら出すかも。店は23時まで開けてるから、飲んだ後とかにふらっと立ち寄ってほしいしね。
ーー店の雰囲気が「和」の感じになったのは、もともと好きだったからなんですか?
元から「和」が好きだったかというと、そうじゃなくて。それまでは洋画とかを観て海外に憧れを持ってて、26歳のときに1年間ベルリンで過ごしたんだけど、そこでは逆に日本の「和」の部分のかっこよさが浮き彫りになったな。自分のアイデンティティは日本にあるんだって感じて、日本の自然とか、田舎の物々交換の風習とか、すごくいい国だなっていうのを漠然と考えるようになって。
そのあと三軒茶屋で樂商店を作るんだけど、お店自体はもう4回改装してて。一番最初の空間って床もフローリングでアメリカ調だったんだよね。やっぱ自分がアメリカ調が好きっていうのがあるし、古着屋イコールアメリカってイメージがあったから。けど2回3回と空間を作っていくと、だんだん「和」っぽくなっていって。自分が落ち着くなって空間を作っていったら「和」のテイストがでてきて、だから和室を作ろうと思ったかな。
ーーいわゆる”和風”ではなく、自分の思う”和室”であることが大切なんですね。
たとえば、ただ単に障子があるから和室なのかっていうと、もちろん和室ではあるんだけども、そこにだけ頼って和室を作りたくないってのはある。自分の中の本当の和室を作りたくて、まずは自分が一番心地いい空間、それこそ好きなものに囲まれた生活っていうのを突き詰めていった結果、それが和室になるんじゃないかなっていうのを考えてて。
ーー考えてみれば、日本人が心地良さを追求した形が和室ですもんね。
確かにそうかもしれない。そこの棚も ”違い棚” をイメージして作ってて。棚を作るときも気の流れみたいなものを意識してて、こうしたら部屋を全体的に循環するような感じになるかな、とか。別に知識があるわけではないけど自分の直感に従って作って、すごく楽しかったね。
ーー樂商店は古民家の一部で閉店後はここで過ごされているから、自分が落ち着く空間をお店として作ってるんですね。
そう。だから自分が落ち着くためのものや、自分だけが分かるこだわりがあったりしてもいい。それで、誰かが部屋に遊びに来たときとか、俺にとってはお客さんかもしれないけど、隠しておいた自分の好きなものに気づく人がいたら、その人とはめっちゃ仲良くなれると思うし。ただそれをやってるだけかな。
だから「部屋兼お店」っていうのはすごくいいなって最近思ってて。例えば商売のベースとして、”お客様”と”店主”っていう関係性があるんだけど、その”お客様”っていう言い方はあんまり好きじゃなくて。俺は”お客さん”って呼びたいし、常にお客さんと店主が対等に話せるようにしたい。もちろん誠意は尽くすけど、べつに気を遣う必要はなくて。やっぱり「気を遣って売ろうとしてんな」っていうのは伝染しちゃうし。でもこの2畳って小さい空間で、たたみに上がって同じ目線で話すっていうのをしていくと、だんだんとほぐれてくる。こういうのが小さい空間とか、自分の部屋で古着屋をやるっていうことの利点なんだってことに気付けて、無理をせずに商売できるんじゃないかって思うな。
ーーたしかに、個人でやるお店として、自分にとって居心地の良い空間であるって大事ですね。これからのことですが、理想はありますか?
理想はある。でもそれは空間を使っていって、色んな人と接した中でどんどんブラッシュアップされていくものだなと思ったから、まだ完成はしてないね。常に変わっていくし、何かを変えたくなるし。そうやって自分の中の「和室」を作っていきたいかな。
あと、こうして路面店として構えたことで、自分が何を表現したいのか、今まで考えてきたことを外に表現していく第2のフェーズに入ってて。自分の横のコミュニティだけじゃなくて、子どもからおじいちゃんまで、服を通していろんな世代の人に接続した上で一つのコミュニティにできたら、っていうのが目標だね。
樂商店がこれからどんな風に変わっていくか、とても楽しみだ。居心地の良い空間に洒脱な古着が揃ってるから、おしゃれな友達の家に遊びにいく感じで訪れてみて。和哉さん家はとても楽しいです!
樂商店<ラクショウテン>
@raku.store_secondhand